振袖でおじいちゃん孝行したお孫さん。

私も成人式からかなりの年数が経ってしまいましたが、高校生の時にアルバイト先のクリーニング屋さんでの印象深かった出来事を書きたいと思います。街中にあった地元でも有名なクリーニング屋さんで私は学生のころアルバイトをしていました。たいていYシャツ、スーツなどがクリーニングに出されるのですが、やはり成人式のころになると振袖のクリーニングが増えるんです。そんななか、成人式の5日前にその出来事は起こりました。いつもと同じように店頭で受付業務をしていると、70歳代後半くらいのおじいちゃんが走って店先へやってきました。手には風呂敷に包んだ何かをもっていました。


とてもあわてた様子でやってきたおじいさんは、振袖のクリーニングは出来ますか?と尋ねてきました。さすがに5日後の成人式に間に合わないという上司の判断によりお断りしたのですが、どうやら大切な振袖をお孫さんに着せたいとの思いがとても強かったおじいちゃんは、真剣に事情をお話してくれました。風呂敷の中に包まれた振袖は、どうみても古いの振袖で、その当時でも今時のデザインではありませんでしたが、しっかりした作りでどこもよれた感じもなく、素敵な振袖でした。振袖はおばあちゃんのものだったらしく、その後娘さんが成人式で着られて、次はお孫さんに着て欲しかったらしいです。しかし、デザイン、色的にもお孫さんが嫌がったらしく諦めてしまわれていたそうですが、5日前のその日の朝、突然お孫さんはその振袖を着て成人式に出席したいと言ってきたそうです。


諦めていたおじいさんですが、その思いがとても嬉しく、なんとかしてあげたいとおもったそうですが、ここのお店に来るまでにとても吹雪いていた日だったのにも関わらず、歩いて3件のクリーニング屋さんを回り、どこも断られてしまったとのことでした。最終的にはクリーニングしている工場と交渉し、なんとか特例ということでクリーニングを引き受けて、無事そのお孫さんはその振袖を着ることができました。あれから10年以上の月日がたち、いまだに成人式の時期がくるとそのおじいさんと、振袖のことを思いだします。私もそれから数年後に成人式を迎えましたが、成人式に出席できなかったため振袖を着ることができませんでした。今となり一人の娘の母となった私は、娘には振袖を着て欲しいととても思っています。そのときには、立派な何代でももつような振袖をプレゼントしたいです。